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Showing posts from April, 2009

シェーダ(shader)とは

メンタルレイではシェーダが重要な役割を果たすのでここで述べておきます. シェーダ(shader) とは,光が物体に当たった時に,どのように物体の明るさを計算するかというプログラムコードです.(shade には影という意味があります.)しかし,これは最初にシェーダが考えられた時の元々の意味であって,現在はもっと拡張された意味を持っています.コンピュータグラフィクスでは物体をポリゴンなどの多角形で表現し,各頂点の明るさを計算し,そして多角形の内部を様々な方法で補間するということがかつて行なわれていました.時代と共に光と物体の相互作用の計算方法は発展し,複雑になっていきました.そしてシェーダの発展方向は主に二つの方向に進みました.一つはより速度,インタラクティブ性に重点を置いたハードウェアによるシェーディング,もう一つはよりリアリズムに重点を置いたソフトウェアによるシェーディングです. グラフィックスに特化したハードウェアは現在 GPU (Graphics Processing Unit) と呼ばれています.初期の GPU には固定されたシェーダ機能が実装されました.できるだけ高速に大量の Pixel を生成するには機能を固定し,深いパイプラインで高いスループットを得るという手法が実際的だったためです.しかし計算能力の発展によってより高品質をめざすようになり,シェーダはプログラム可能になりました.シェーダプログラミングは最初アセンブラ言語に近いものでしたが,やがて Cg などの Shading 言語が実装されるようになりました.それはますます発展してCUDA, OpenCL (2009 年現在)のような一般的な言語となり,シェーダを書くだけのものではなくなりました. 一方でメンタルレイのシェーダの出発点は高品質な画像の生成を第一の目的として発展してきました.高品質を達成するために光が物体に当った時にどのような現象が起きるかをシミュレートするのがシェーダの主な役割でした.特にハードウェアのシェーダは各ピクセルで独立した計算を行う,つまり 局所的(local) 計算は得意ですが,実際の現象は 大域的 (global)です.遠くの物体が他の物体に影を落とす.という日常で見かけることは既に global な現象で,一つの物体がシーン全体に影響する可能性があります.このような 大域

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このブログではメンタルレイというレンダリングソフトウェアについて書いていきたいと思います. メンタルレイとは メンタルレイ(mental ray)はドイツの mental images GmbH 製のレンダリングソフトウェアです.mental images 社は NVidia という会社の子会社です (2009年現在).Maya, 3dsMax, SoftImage XSI, などの DCC (Digital ContentsCreation) Software, あるいは Solidworks などの CAD などのレンダラとして利用されています.建築などの分野でも利用されていますが,StarWars や Matrix,最近では The Curious Case of Benjamin Button (邦題:ベンジャミン・バトン--数奇な人生) などの映画の特殊効果(Special Effect)に使われているようです. http://www.mentalimages.com/products/mental-ray.html http://www.mentalimages.com/gallery/motion-pictures.html 機能は豊富で高品質な画像を生成できる,というのが売りですが,なんでもできるというのは使うのが難しいという面もあります.特にシェーダー(shader) のカスタマイズの可能性はかなり広い一方,本当に使いこなすのは難しいと思います.通常は用意されているシェーダー(shader) を使うだけでもかなりのことができます.私の友人は mental ray を Ferrari に例えていました.Ferrari なのはイタリア人だからかもしれませんが,曰く,「どう使うか知らなければ動きもしないが,ちゃんと使えば (映画の) Matrix が作れる.」しかし,1ユーザとしてはもっと簡単だったらなあと思うことしきりです. ところで,私の知る限りでは,メンタルレイの情報はほとんどが英語で提供されているので,できるだけ英語を併記しておくことにします.英語のページもどうぞ.