以下は iray dev blog の個人的な翻訳です. この翻訳は iray 開発者あるいはNVIDIA とはまったく関係がありません.
原文: http://blog.irayrender.com/post/12964041473/noisy-pictures
物理的に正しいレイトレーサあるいはパストレーサを用いるレンダラが直面する主な問題があります.それは完全にノイズのない画像を生成するには長いレンダリング時間がかかるというものです.
残念なことにこれは(準-)モンテカルロ法に基づくアルゴリズムが一般に持つ性質によるものです.これらの手法では数学的に期待値の持つエラーが線形に消えていくことはありません. irayにとってこれが意味することは,ノイズの総量は1フレームをレンダリングする際に使うサンプルの数(あるいは総時間)に直接に比例しないということです.このためにレンダリングの最初の頃のステップで減っていくノイズの量は,後で減っていくノイズの量に比べて少ないように見えます.つまり収束がだんだん遅くなっていくような印象を受けるのです.
この事実を回避するために,多くのレンダラは通常ある仕事を省略しようとします.たとえば,レンダラの中にはいくつかの物理的な効果を無視したり,レンダリング結果の無偏向性(un-biasedness)をあきらめたりします.その他の技術としては特殊な発見的手法を用いてサンプルをフィルタし,ノイズをぼかしてしまうというものがあります.あるいは単純に様々な芸術的な方法に依存する方法,たとえば,根底にあるレンダリングのアルゴリズム/魔法に影響する沢山のスイッチを用意して,それをいじりまわすという方法です.
しかし iray の一つの大きなデザインゴールは,インストールしたらそのままいつでも全てが正しく動作し,沢山のパラメータをいじりまわすことは必要ないというものです.私の正直な意見としては,パラメータの数は 0 であるべきです.そうであれば,アーティストやデザイナは実際のレンダリングされるコンテンツに完全に集中できるようになり,小難しい深い数学の詳細を知る必要はありません.また,一貫性のないアルゴリズムはまったく使うべきではないと思います.そういうアルゴリズムを使わなくてはいけないかわいそうなアーティストが見るのは,あるフレームの中に出現する醜いアーティファクトか,アニメーションの中でのフリッカリング(ちらちらする効果)です.
しかし,ノイズに対する何らかの(自動の)助けを提供するために,私達はある種の頑健であり,ポストプロセスには邪魔にならないようなフィルタパイプラインを導入しようとしています.いくつかのこれらのフィルタは特に微妙なノイズを消すことを目標にしています.この微妙なノイズというのは実際の写真の技術としては良く知られたものです.以下の画像では現在利用可能なリアルタイムのデグレインフィルタを用いた例を示します.画像に見られるように,ほとんどのジオメトリックな詳細,あるいはテクスチャの詳細が保存されている一方,ある限られたレンダリング時間ではまだ消えていない微妙なノイズのほとんどが消去されています.もし本当に必要であれば,このフィルタはさらに強力に働くように調整できます.また,プロフェッショナルなユーザのために,いくつかの種類のフィルタを選択することもできます.
Carsten
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